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『百花のしるし』(カネコマサル:著、アスキーメディアワークス:刊)感想

 2012-12-11
 気がつけばもう今年も終わろうとしてますね。
 そして気がつけば3ヶ月以上ブログを放置という体たらく……(遠い目)。

 そんな私ですが、今とても好きな本がありまして。
 11月27日にアスキーメディアワークスから発売された、カネコマサルさんの『百花のしるし』(電撃コミックス)という本です。

 「百花のしるし」(カネコマサル:著 アスキーメディアワークス)

 物語の舞台は、新興住宅地「彩咲町」(あやさきちょう)。
 この町にたたずむ喫茶店WARABIに住む百花は、町を護る神様。見た目は幼い女の子ですが。
 でも百花は彩咲町と同じく生まれたての神様なのであまり力が無く、アキラとミズキに手伝ってもらっています。
 町を廃れさせようとする神・枯緑(ころく)と対決したりしますが、殺伐とした場面は無くて全編ほのぼの。
 単行本の帯に書かれている「クスリとわらえて ホッコリあたたまる ハートフルなまんがです。」が本作を的確に表しています。

 「電撃大王ジェネシス」(休刊)という雑誌で連載されていたとのことですが、その事を知らなくてカネコさんのツイッターで単行本の発売を知ったのでした(すみません……)。
 カバーイラストを見たら、可愛らしい女の子が描かれていて、ほんわかしていそうで良い雰囲気。
 これはよさそうだな、と思って買ったら大当たりでした。
 というわけで、これからつらつらと感想を。

○ほのぼのコミカルな雰囲気が好き!

 何が好きかといいますと、まずほのぼのした雰囲気。
その象徴ともいえるのが、主人公の神様である百花さま。

 ちいさくてかわいらしいというのもありますが、いつも穏やかな笑顔なのが好きなのです。
 生まれてほどないのでそれほど力はありませんが、自分と敵対するもの(人々の負の想いが生んだ「厄」や枯緑)と出会っても、まるで動じることなく笑顔を浮かべています。
 そんな百花さまが、小さいとはいえとても頼もしくも思えるのです。

 ちなみにいつも下ろした髪型にワンピース姿の百花さまですが、一度だけポニーテール&エプロン姿になったことがあります。
 2話目で百花さまが住む喫茶店・WASABI(アキラの父が経営)のウェイトレスになったからですが、これがまた実にかわいい!
 アキラは特に無反応でしたが、ミズキが大いに反応して興奮するのもわかります(笑)。
 このときのスペシャルメニューとして登場するのが「神様パフェ」。
フルーツをふんだんに使い、仕上げに百花さまがチョコで文字を書いてくれるサービス付き!
 ご利益があるかどうかは別にして、普通に食べてみたいです(笑)。

 基本ほのぼのな本作ですが、百花さまに敵対するキャラもいます。
 町を廃れさせようと悪さする神様・枯緑(ころく)がそれ。
 悪さばかりして憎らしいけど、どこか憎めないんですよね。
 精一杯悪ぶっているのですが、幼いのでどこか微笑ましいのです。

 百花さまたちと枯緑の対決、という場面もあります。
 ですがそうした対立要素や対決場面は、本作の雰囲気を壊さない程度に、それでいてお話を盛り上げたり適度な緊迫感を与えるものとして、実にうまく働いていると思うのです。

 そしてコミカルなところもいいですねー。
 例えば百花さまの成長をサポートするアキラとミズキのやりとり。
 おとぼけなところもあるミズキと、そんな彼女にツッコミを入れるクールなアキラ。
この二人のやり取りを見ていると、同じ作者の『ふら・ふろ』(以前『まんがタイムきららキャラット』にて連載。単行本全3巻)のハナ(基本ボケ役)とナツ(ツッコミ役)を思い出します。

 コミカルといえば、アキラの父も登場回数は少ないながらも負けていません。
いいおとぼけキャラです。
 例えばバイトの茅さん(眼鏡女子)にツッコミを期待して、コック長帽子をかぶったり。最初はスルーされて落ち込みますが(笑)。
 または、枯緑に柄杓を奪われ必死になって助けを求める蛇(少女の姿・巨乳)に迫られるアキラをしみじみと眺めたり。いいのか(笑)。
 そんな場面につい頬が緩むのでした。

 そして百花たちの邪魔をする神様・枯緑。
 彼が不憫な目に遭うさまについ笑ってしまいます。
 例えばアキラによって川に放り投げられて流されたり、犬にかまれたり。
 川に流されたときの擬音(ドンブラコー ドンブラコー)が個人的にはツボです(笑)。

 あとミズキによるロシアン激辛まんじゅうのお話もありますね。
 ちなみに百花さまは無事でした(笑)。

○コミカルだけではなく。少しシリアスさも

 ほのぼのさが根底にある本作ですが、コミカルさだけでなく少しシリアスなお話もあります。
 後半から終わりにかけて登場するエピソードがそれ。

 物語終盤で登場する神様・蒼水(あおみ)さま(見た目は百花さまと同じく幼い)と、彼女の使いの蛇。
 この二人のやり取りには心に染みるものがあります。

 彩咲町の開発のために、依代(よりしろ)が無くなろうとしても泰然自若としている蒼水さまと、依代が無くなりそうなことに危機感を覚え必死になって抵抗する蛇。
 蛇を優しく諭す蒼水さまと、誰からも想われなくなることを悲しむ蛇のやり取りが実に良くて……。

 そもそも蛇が依代の池を残そうと必死になるのは「蒼水」という名前を残すため。
 今は蒼水さまと蛇がいる依代のある森も「彩咲町」ですが、その前の地名は「蒼水原」。
 かつては農家たちが収穫を祝い、蒼水さまや蛇と一緒に宴を開く事もあったのに、地名が変わっただけでなく工事で依代も消えようとしている。
 百花によると、名前が消える時点で人々は想いを主に向けることはできない。
 つまりそれは、人々が主の存在を意識できないということなのです。

 蒼水さまは地名が消え、依代が消えることに動じないものの、蛇はそうなることが許せない。
 だから蛇は必死になるわけですが、この後の流れが実に心にくいです。
 ここでかつてのにぎやかな宴の回想が入ることで、人々の意識から消されつつある現在がより強く読者にも意識される。
 そして蛇が「誰からも想われないなんて…嫌です…」と涙をこぼす場面にじーんと来るわけですよ
 (とはいえ、その直後のミズキの涙には笑ってしまいましたが……笑)。

 誰からも想われない。そして人々の心から消え去られようとしている。
 だから必死になって依代を、そして元の地名(蒼水原)を残そうとした蛇の気持ちに私は共感しましたし、感動したのです。

 ですが蒼水さまは神様だからか達観してます。
 蛇に「新しい世界はいつも素晴らしいことを私は知っている」というのですから。
 続けて蛇にかたりかけた「だからおまえも変わりなさい」という言葉、いいなと思うのです。
 深いといいますか、スケールが大きいといいますか。

 ちなみにこの件は、アキラの名案により、百花さまと蒼水さまが力を合わせて見事に解決します(そして百花さまが大きく力をつけることになりました)。

○想いや願いの先には~おわりに

 作者があとがきにて本作のテーマを書かれていますが、それを読んで静かに考えてしまいました。

 「人がなにかを想い、願うときその先でどんなことが起きているのかということを描こうと」(『百花のしるし』193ページより)したという作者。
 人の想いや願いが「神様」の力となり、それが自分たちの住むところに関わる(もしくは返ってくる)のなら、もちろん前向きな想いや願いを浮かべたくなりますよね。

 最終回の終わり間際、枯緑の妨害からアキラを守るため、百花から生み出された二体の狛犬的なもの(とらのあな特典のリーフにある解説によると「阿吽」らしいです)が登場します。アキラには思い切り非協力的なこの阿吽ですが……(笑)。
新キャラたちの登場にもかかわらず、これにて本作はおしまい。
まだまだお話を読みたいと思うだけに、1巻完結なのが残念です。

 ほのぼのコミカルな雰囲気に、かわいい百花さまはじめ存在感あるキャラたち。
 それらに加えて、深みのあるお話と面白い要素がしっかり結びついている『百花のしるし』。
 もうすぐ2012年も終わろうとするところで、とてもいい作品に出会えました。

(作品紹介的な記事がある「電撃大王ジェネシス OFFICIAL WEB」へのリンク)
 ゆったりまったり神様ライフ。「百花のしるし」本日発売!

(まんがタイムきららWebにて『ふら・ふろ』の試し読みができます)
『ふら・ふろ』1巻
『ふら・ふろ』2巻
『ふら・ふろ』3巻

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