2009'06.28.18:26

以前『まんがタイムラブリー』にて連載されていた鳴海柚来先生の「どこ行く?」という作品が好きなこともあり、鳴海先生のサークル、くろがね堂から出た東方Projectの二次創作ものが気になってはいたものの、入手は先送り状態が続いていました。
そんな折、今月の半ば頃、以前出されていた東方本の再録集が2冊出るとのことで買ってみたところ、これが実に面白い。
どちらの再録集にもいえるのですが。
畳み掛けるように繰り広げられるハイテンションなギャグ。
そして読む者の心のどこかにあるはずの、忘れてはいけない気持ちに気づかせる叙情的な作品。
極端なまでにふり幅の異なる両方の作品が違和感なく収められているのです。
今回は『今夜は朝までマリス砲 くろがね堂 東方本再録集2』(以下『今夜は〜』)の感想を書いてゆきます。
簡単に書くつもりが思わず長くなってしまいました。お時間と興味のある方はどうぞごゆるりと。
『もっと!! 名前で呼んでください。 くろがね堂 東方本再録集』の感想も後程書きたいです。こちらもいい作品がそろっているんですよ……。
二次創作というとどうしても「知っている人向け」になってしまいがち(元作品のお約束を知っていることを前提で作品が作られている)という感が否めません(別にそうした作り方を否定する気は全くありません。念のため)。
ですが、この『今夜は〜』は、東方Projectに関しては全く知らない私でも普通に楽しめる作品がほとんどなのが嬉しかったです。
全部で12作品プラスアルファが収録されていますが、個人的に好きな作品の感想を簡単に。
・「白い兎の永い夜」
てゐの傍若無人なまでの凶悪さと、彼女に翻ろうされまくりのウドンゲの不憫さだけでも十分に笑えますけど、そこにどこかアレな感じ(どんなだ)の香霖堂、常人には理解不能な感性の永琳も加わって笑いを添えてくれます。
終盤、一瞬だけしんみりする展開になるものの、すぐに覆されて(ウドンゲにとっては)ホラー風味になってしまうのですけど(笑)。
・「プリズムリバー〜愛の絆〜」
序盤のメルランの貧乏くじの引きっぷりの良さが笑えます。
3姉妹そろってポーズを決める練習をするのですが、メルランだけ大変なポーズを強いられてますから。
特にセンターポジションになったはいいものの、一人だけ逆立ちですし……スカートで。落ちてますし(笑)。
まあ、リリカの自分勝手さが騒動の中心になっている気もしますけど(笑)。
あと「脳みそビブラートの刑」にも吹きましたw
・「翠嵐吹華」
時の流れがもたらす喜びと寂しさが、穏やかな雰囲気の中、鮮やかに読む者の心に浮かび上がる作品。
今は幼く、藍と一緒にいたがる橙も、時が経つにつれていずれは藍のそばを離れる時が来るかもしれない。
それは橙が体だけでなく心も成長して、独り立ちするときが来るかもしれないから。
若い人にはこの作品のテーマとそれが生む感動が分かりにくいかもしれませんが、ある程度歳を重ねると感慨深いものがあると思います。
あと、藍が橙をとても愛おしく、大切に思っていることがひしひしと伝わる言葉や場面の数々も、読んでいて心に染みるものがあるのです。
橙の無邪気さもとてもまぶしい。
短いながらも(作品コメントで鳴海先生は「もっとキレ良くまとめられたのではないか」と書かれてはいますが)非常に心に残る作品です。
・「Intermission」(イラスト&未発表ラフなど)
数々のイラスト、ラフなどが載っていますが、圧巻なのは「スッパテンコー」(テンコーは半角表記)。
この再録本のギャグ作品のほとんども結構なテンションの高さですが、それらを軽く凌駕するのがこの作品です(少なくとも私にとっては)。
もうレッドゾーン振り切ってます(笑)。
どう振り切っているかというと、マヨヒガにてたまたま一人きりになった藍さまが……
これ以上は実際に読んでのお楽しみと言う事で。
しかもみょふ〜会 雨水さんのバージョンも収録されている念の入れよう。
若干構成が異なる部分はあるものの、基本は同じ。こちらもやはりレッドゾーン振り切ってます(笑)。
・「今夜もあなたとマリス砲」
全四話プラス一話の計5作品の連作。
魔理沙に想いを寄せるアリスの愉快過ぎる痛快ギャグが炸裂するこの連作ですが、アリスの想いの過剰さがギャグの根幹にあるのはいうまでもありません……いや、魔理沙の濃さも十分すぎるほどに笑えますけど(笑)。
第二話でのアリスの妄想シーンにも笑ってしまいますが、そんな彼女に魔理沙が怒りをぶちまけまくる場面も実に愉快です。ツッコミ激し過ぎです(笑)。キノコを無理矢理アリスの口に入れる場面がまた……(笑)。
それにも懲りず、アリスが再び妄想する場面がまた何とも(笑)。
この次はなぜか第零話ですが、ここで出てくるキーワード(?)「きっちょむとんち話全集」に吹いた(笑)。
そういえば「彦一とんちばなし」ってありませんでしたっけ?(激しく関係ない)
あと第四話で、策士策に溺れる状態になったアリスが激しくショックを受ける表情も、ね(笑)。
大ゴマ使って極太の描線、大きな活字が実に効果的ですw
・「男・香霖 天狗を喰らう」
本来の香霖堂は「性格は極めて冷静で思慮深く」(Wikipedia 東方Projectの登場キャラクターより)とのことですが、ここではどこかアレな感じの愉快なキャラにされています(笑)。
(伝え聞いた話によると、東方作品には男性キャラが非常に少ないこともあり、東方二次創作の作者は愛を込めて香霖堂をこうしたキャラにする傾向が強いらしいです。)
どうアレかというと、マイペースにしてどこか変態さを漂わせる感じでアレですw
文が中学生ではないと知った時や、自分がギャルゲーの主人公よろしく、東方作品の女性キャラから好かれている夢から覚めた時の激しいショックの様子がとても笑えます(笑)。
文から取材を受けた際にもわざわざ上を脱いで色っぽさをアピールしたり、文との結婚を勝手に考えたりなど、とことんダメなキャラにされているのが愉快すぎて。
他にも色々ありますが書ききれ無いのが惜しいくらいに(笑)。
・「さとのにんきもの」
子どもたち相手の劇でリアル過ぎてグロテスクな「耳なし芳一」はまずいでしょう(笑)。
・「お茶会にて」(未発表作品)
霊夢に、魔理沙が好きなことを言い当てられたアリスが、表向き否定するため、魔理沙についてわざと悪い面を言ううちに、本当に悪い面しか見えなくなっていたという(笑)。
口にすれば本当になる事もあるので気をつけましょう、ということで(多分違う)。
・「天上の華」
人が生きるには、衣食住が足りているだけでは駄目なんだ。そう思わせる作品。
大切な人(慧音)がいなくなり、(不老不死であるがゆえに)永遠の時をどのように過ごせばいいか分からず途方に暮れる妹紅のやるせなさにしみじみとしてしまいました。
彼岸花に対する認識が、妹紅と(「幻想郷と彼岸との間の河を案内する妖怪」の)小町では正反対なのも、読んでいて考えさせられるものがありましたし。
「死の花」など負のイメージを抱く小町に対して、妹紅が抱くのは希望を感じさせるもの。
どちらが正しいかはともかく、私は妹紅の方を支持したいです。
・「MAYBE TRUE」(描き下ろし)
前編・後編の2本立て。
前編はいろいろと濃いです。
冒頭から衣玖の下着姿というサービスシーンです(笑)。
あとなぜか医者の永琳のとんでもない姿(裸白衣)とかw
空気の読みすぎから来るストレスで胃に穴が開いてしまった衣玖が、永琳から出された薬を飲んで大声を出す事でストレスを発散するのですが、出された薬が「コエカタマリン」(『ドラ○もん』に出てくる、これを飲んで声を出すと、言葉が立体化されたカタカナになる)なだけに大惨事に(笑)。l
後編は一転してしんみりと読ませる作品。
普段はサバサバした感じの伊吹童子が見せる、人の輪に加わりたくても加われない寂しさを語る場面。
そして自分の胃に穴が開くほどのストレスの原因であるはずの天子を、何だかんだ言いながらも優しく見守る衣玖の優しさが描かれている場面。
この二つが、私にとっては印象に残る場面でした。
この二つの場面があるからこそ、後半の天子と伊吹童子のバトルの形を借りた「遊び」が、どこか微笑ましく見えてくるのだと思います。
それにしても、前半と後半でこうも異なる作風でありながら違和感を感じさせないのはすごいなあ……と思ったり。一粒で二度おいしい。
☆参考ページ
◎再録集第二弾『今夜は朝までマリス砲』通販ページ(メロンブックス)
◎再録本2描き下ろしのサンプル漫画ページ(くろがね堂)
・サンプル漫画・1
・サンプル漫画・2
・サンプル漫画・3
・サンプル漫画・4
・サンプル漫画・5
ですが、この『今夜は〜』は、東方Projectに関しては全く知らない私でも普通に楽しめる作品がほとんどなのが嬉しかったです。
全部で12作品プラスアルファが収録されていますが、個人的に好きな作品の感想を簡単に。
・「白い兎の永い夜」
てゐの傍若無人なまでの凶悪さと、彼女に翻ろうされまくりのウドンゲの不憫さだけでも十分に笑えますけど、そこにどこかアレな感じ(どんなだ)の香霖堂、常人には理解不能な感性の永琳も加わって笑いを添えてくれます。
終盤、一瞬だけしんみりする展開になるものの、すぐに覆されて(ウドンゲにとっては)ホラー風味になってしまうのですけど(笑)。
・「プリズムリバー〜愛の絆〜」
序盤のメルランの貧乏くじの引きっぷりの良さが笑えます。
3姉妹そろってポーズを決める練習をするのですが、メルランだけ大変なポーズを強いられてますから。
特にセンターポジションになったはいいものの、一人だけ逆立ちですし……スカートで。落ちてますし(笑)。
まあ、リリカの自分勝手さが騒動の中心になっている気もしますけど(笑)。
あと「脳みそビブラートの刑」にも吹きましたw
・「翠嵐吹華」
時の流れがもたらす喜びと寂しさが、穏やかな雰囲気の中、鮮やかに読む者の心に浮かび上がる作品。
今は幼く、藍と一緒にいたがる橙も、時が経つにつれていずれは藍のそばを離れる時が来るかもしれない。
それは橙が体だけでなく心も成長して、独り立ちするときが来るかもしれないから。
若い人にはこの作品のテーマとそれが生む感動が分かりにくいかもしれませんが、ある程度歳を重ねると感慨深いものがあると思います。
あと、藍が橙をとても愛おしく、大切に思っていることがひしひしと伝わる言葉や場面の数々も、読んでいて心に染みるものがあるのです。
橙の無邪気さもとてもまぶしい。
短いながらも(作品コメントで鳴海先生は「もっとキレ良くまとめられたのではないか」と書かれてはいますが)非常に心に残る作品です。
・「Intermission」(イラスト&未発表ラフなど)
数々のイラスト、ラフなどが載っていますが、圧巻なのは「スッパテンコー」(テンコーは半角表記)。
この再録本のギャグ作品のほとんども結構なテンションの高さですが、それらを軽く凌駕するのがこの作品です(少なくとも私にとっては)。
もうレッドゾーン振り切ってます(笑)。
どう振り切っているかというと、マヨヒガにてたまたま一人きりになった藍さまが……
これ以上は実際に読んでのお楽しみと言う事で。
しかもみょふ〜会 雨水さんのバージョンも収録されている念の入れよう。
若干構成が異なる部分はあるものの、基本は同じ。こちらもやはりレッドゾーン振り切ってます(笑)。
・「今夜もあなたとマリス砲」
全四話プラス一話の計5作品の連作。
魔理沙に想いを寄せるアリスの愉快過ぎる痛快ギャグが炸裂するこの連作ですが、アリスの想いの過剰さがギャグの根幹にあるのはいうまでもありません……いや、魔理沙の濃さも十分すぎるほどに笑えますけど(笑)。
第二話でのアリスの妄想シーンにも笑ってしまいますが、そんな彼女に魔理沙が怒りをぶちまけまくる場面も実に愉快です。ツッコミ激し過ぎです(笑)。キノコを無理矢理アリスの口に入れる場面がまた……(笑)。
それにも懲りず、アリスが再び妄想する場面がまた何とも(笑)。
この次はなぜか第零話ですが、ここで出てくるキーワード(?)「きっちょむとんち話全集」に吹いた(笑)。
そういえば「彦一とんちばなし」ってありませんでしたっけ?(激しく関係ない)
あと第四話で、策士策に溺れる状態になったアリスが激しくショックを受ける表情も、ね(笑)。
大ゴマ使って極太の描線、大きな活字が実に効果的ですw
・「男・香霖 天狗を喰らう」
本来の香霖堂は「性格は極めて冷静で思慮深く」(Wikipedia 東方Projectの登場キャラクターより)とのことですが、ここではどこかアレな感じの愉快なキャラにされています(笑)。
(伝え聞いた話によると、東方作品には男性キャラが非常に少ないこともあり、東方二次創作の作者は愛を込めて香霖堂をこうしたキャラにする傾向が強いらしいです。)
どうアレかというと、マイペースにしてどこか変態さを漂わせる感じでアレですw
文が中学生ではないと知った時や、自分がギャルゲーの主人公よろしく、東方作品の女性キャラから好かれている夢から覚めた時の激しいショックの様子がとても笑えます(笑)。
文から取材を受けた際にもわざわざ上を脱いで色っぽさをアピールしたり、文との結婚を勝手に考えたりなど、とことんダメなキャラにされているのが愉快すぎて。
他にも色々ありますが書ききれ無いのが惜しいくらいに(笑)。
・「さとのにんきもの」
子どもたち相手の劇でリアル過ぎてグロテスクな「耳なし芳一」はまずいでしょう(笑)。
・「お茶会にて」(未発表作品)
霊夢に、魔理沙が好きなことを言い当てられたアリスが、表向き否定するため、魔理沙についてわざと悪い面を言ううちに、本当に悪い面しか見えなくなっていたという(笑)。
口にすれば本当になる事もあるので気をつけましょう、ということで(多分違う)。
・「天上の華」
人が生きるには、衣食住が足りているだけでは駄目なんだ。そう思わせる作品。
大切な人(慧音)がいなくなり、(不老不死であるがゆえに)永遠の時をどのように過ごせばいいか分からず途方に暮れる妹紅のやるせなさにしみじみとしてしまいました。
彼岸花に対する認識が、妹紅と(「幻想郷と彼岸との間の河を案内する妖怪」の)小町では正反対なのも、読んでいて考えさせられるものがありましたし。
「死の花」など負のイメージを抱く小町に対して、妹紅が抱くのは希望を感じさせるもの。
どちらが正しいかはともかく、私は妹紅の方を支持したいです。
・「MAYBE TRUE」(描き下ろし)
前編・後編の2本立て。
前編はいろいろと濃いです。
冒頭から衣玖の下着姿というサービスシーンです(笑)。
あとなぜか医者の永琳のとんでもない姿(裸白衣)とかw
空気の読みすぎから来るストレスで胃に穴が開いてしまった衣玖が、永琳から出された薬を飲んで大声を出す事でストレスを発散するのですが、出された薬が「コエカタマリン」(『ドラ○もん』に出てくる、これを飲んで声を出すと、言葉が立体化されたカタカナになる)なだけに大惨事に(笑)。l
後編は一転してしんみりと読ませる作品。
普段はサバサバした感じの伊吹童子が見せる、人の輪に加わりたくても加われない寂しさを語る場面。
そして自分の胃に穴が開くほどのストレスの原因であるはずの天子を、何だかんだ言いながらも優しく見守る衣玖の優しさが描かれている場面。
この二つが、私にとっては印象に残る場面でした。
この二つの場面があるからこそ、後半の天子と伊吹童子のバトルの形を借りた「遊び」が、どこか微笑ましく見えてくるのだと思います。
それにしても、前半と後半でこうも異なる作風でありながら違和感を感じさせないのはすごいなあ……と思ったり。一粒で二度おいしい。
☆参考ページ
◎再録集第二弾『今夜は朝までマリス砲』通販ページ(メロンブックス)
◎再録本2描き下ろしのサンプル漫画ページ(くろがね堂)
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