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『Recht~レヒト~』第2巻(寺本薫:著 芳文社:刊)感想

 2008-08-02
『Recht~レヒト~』とは、現在「まんがタイムきららフォワード」にて連載中の作品です。
 レヒトという警察組織のトップクラスに在籍していた亡き父に憧れる少年、カイが
管理局から与えられたCS(カードセキュリティー)というパートナー・アリスとともに、
レヒトにて昇進目指して頑張るのですが、そのうちにレヒトの裏側を知る事となる、というお話です。
 これに加えて、カイとアリスのぎこちないながらも、少しずつ絆と信頼を深めてゆく様子も
テーマのひとつかな、と思うのですが。 

 このたび発売された2巻は、シリアスさを増した本編はもちろん、和みの描き下ろし4コマとイラスト、
そして短いながらも、各キャラの意外な面などが見られる描き下ろしストーリーマンガなど、
充実度の高いものとなっています。
○明らかになるレヒトの内情と、現実の壁に直面する主人公・カイ

 1巻では主人公・カイと、パートナーであるCS・アリスとの信頼が深まる様子の描写が中心であり、大きな魅力のひとつでしたが、2巻は主人公が属するレヒトと言う警察組織の実情が、少しずつ明らかになるところが中心をなすと思うのです。
 カイが知らない部分でうごめく、理想とはかけ離れた現実。
 カイが直面した、自分はレヒトには向いていないのでは、と落ち込ませるほどの出来事。
 これらの要素は、主人公・カイの前途の多難さを読者に予感させるに足る要素となっています。
 とはいえ、落ち込むカイをアリスが励ます場面もありますので、ご安心を。

 その意味では、2巻はカイの精神的な成長を促すための、前段階的な意味合いの強い巻だと思うのです。
 2巻から読み始めた人は、カバー絵と裏腹の、重めの展開に戸惑うかもしれませんが、カイが属するレヒトという組織を読者に知らしめるためにも、そしてカイの成長を描く上でも欠かせない展開だと思います。

○各話ごとの印象的な場面など

 ここからがこの記事の本番です(笑)。長いですがご容赦を。

 重みと深みを増した物語部分に比重が置かれている感のある2巻ですが、随所で現れる、読む者を魅了する登場人物の心情描写や言葉などにも、心惹かれる場面がいろいろあるのです。

・第7話・第8話

 冒頭2話はカイの出番がほとんど無いという意味では、番外編的な色の濃いお話です。
 ここでは、涼香の意外な生い立ちや強気な心の裏側が描かれ、読者に彼女の理解を促す面と、アリスのまっすぐさを印象付ける事に成功していると思いました。
 そして、涼香と彼女の友人・霧島カレンとの、切なさ溢れるお話も印象的です。

 カイだけでなく、涼香からもCSらしくないとか、ドジとか言われてショックを受けるアリス……頑張れ(笑)。
 でも前向きなところが、涼香の頑なな心をとかして、カレンの不安な心を(たとえほんの少しでも)落ち着かせる事ができたのでは、とも思いました。

・第9話 

 タイトル(You can't make a omelet without cracking eggs.) は何かを意味することわざの類かな、と思っていたら、やはりそうでした。
 直訳すれば「タマゴを割らなければオムレツは作れない」ですが、もうひとつは「何事にも犠牲は必要」と言う意味もあります。
 本話の終りで、カイの上司・リーが、レヒトで上の階級に行くためにと前置きした上で「理想を捨てる覚悟がなきゃ 失うものが増えてゆくだけだ」と言っていますが、この言葉に対応しているのでしょう。
  
・第10話、第11話、第12話

 3話で一まとまり。
 ついにレヒトの実情が明らかになり、シリアスさを増したお話が展開されています。
 そうして、少しずつ話の筋も複雑になりつつあります。

 4課課長のアレンは、表向きは人当たりの良い笑顔を装いながら、したたかさに満ちた不適な存在感を放っています。
 「あいつは善人なんかじゃない 自分にとって有益な事にしか興味が無いんだ」と、かつて同僚でもあったリーから言われるほどですから。
 レヒトを去った同僚を捕まえた際、カイに聞こえないように厳しい毒を帯びた言葉をつぶやきながらも、カイに穏やかな笑顔を見せてますし。
 更には、自分の昇進のためなら「自分に都合の悪い事件を揉み消」すことなども平気で行う事を認めているほどです。
 その意味では、ある意味彼が今のレヒトを象徴する存在のように思いました。

 そして彼の存在は、理想と前向きさで事件を解決しようとする(正義に尽くそうとする)カイとはまさに正反対でありますから、カイの前途が実に危ういものであると感じさせるものでもあります。

 正義のために、自らの信念に基づき、間違いに満ちたレヒトを抜け出した女性、ルナ・レイノルズの存在も印象に残ります。
 彼女はカイの父の言葉(「間違いを正し自分の信じる道を行きなさい」)を大切にし、それを確認するために、カイの父のお墓の前にいたのですが、結局はレヒトを相手に戦う事になり、捕まってしまうのです。
 彼女は、カイや読者に今のレヒトの内情を明らかにすると同時に、カイ(たち)の力量・経験不足も示す役割を担っていたと見ますが、いかがでしょう。

・第13話

 自分はレヒトに向いていない、と落ち込むカイが、直接・間接問わず周囲の人たちによって励まされ、立ち直る様子が描かれた回。
 
 カイへの接し方が分からず、自分が人間でない事を思い悩むアリスがいじらしいです。人間だからといっても、みんなが上手な励まし方を知っているわけでもないのですから、そう深刻になることも無いのですけどね。

 みんなから励まされたりしても、カイは自分の無力さなどを嘆いて落ち込むのではありますが……。
 そんなカイを前向きにしたのは、やはりアリスでした。
 心からカイに尽くしたいという健気さや、カイの行いをきちんと評価していることが、カイの心を上向きにさせたのですから。
 泣くアリスに呆れつつ、照れながらお礼を言うカイも素直ではないですね(笑)。
 感激したアリスは更に号泣するのでした。泣かないで(笑)。

 その一方、カイの兄・セツとレヒトの女性の間では、意外な内容が交わされています。
 1巻収録の第6話でも、カイが将来を有望視されている事が涼香の口から語られていますが、
それが具体的な形となって読者には明らかにされています。
 ただ、それが今のカイにとっては幸せなことなのか。先が気になって仕方ありません。

・interval・one day

 休日のみんなの様子を、時間を追ってえがいた描き下ろしの短編。
 親睦会という言葉や、セツ編から、カイがレヒトに入って間もない頃のお話なのでしょう。
 それを踏まえておくと、セツは弟のカイを大切に思っていたからこそ、敢えてカイに厳しく(それは冷たさをも感じさせるほど)接していたのかな、と思えるようになったのです。
 早いうちに、カイが自らレヒトに合わないと気づかせるために。
 時間が経つほど、つらい現実にカイが打ちのめされるかもしれないから。
 
 それぞれのキャラの意外な面が見られると言う点では、短いながらも読み応えのあるお話だと思います。

○和みの描き下ろし4コマ・イラスト

 本編はシリアスですが、その間に挟まれた描き下ろしの4コマとイラストには和みます。
 詳しくは実際に単行本を読んでいただくとして、個人的には第7話分と第13話分のに笑いました。
 カイ、頑張れ(笑)。涼香と桔梗のお二人は実に仲がよろしいですね(笑)。

 カバー下は作者の近況報告的なエッセイ風4コマとイラスト。
 チェダーチーズ入りチーカマだけはみつけたので食べました。確かに美味しいです。少し値は張りますが(笑)。

 試し読みをしたい方は、以下のページをご覧下さい。
 まんがタイムきらら-作品紹介ページ-まんがタイムきららWeb(『Recht~レヒト~』2巻紹介ページ)
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